コバヤシ ハルキ
  小林 春樹   東洋研究所 東洋研究所   教授
■ 標題
  「『開元占経』に見える「石氏」の説の由来について-正史に引用された逸文との比較を中心とした検討-」
■ 概要
  『石氏星経』に関する古典的研究書である、上田讓氏の著作・『石氏星経の研究』において、当該書の成立年代が戦国時代に比定されて以来、藪内清氏による批判的指摘が為されたとはいうものの、基本的に、当該史料が、「石氏」、すなわち戦国・魏の人である石申の説を忠実に伝える史料であるという認識が定説化して現在に至っている。しかしながら小論において、上田氏が根本史料とされた、『大唐開元占経』所引の「石氏」の説に関する逸文と、『史記』以後、『隋書』に至る歴代の正史の「律暦志」等に見える逸文とを比較検討した結果、第一に、『大唐開元占経』に見える「石氏」の説は、唐代に以前に編纂された『史記』などの正史所引の石氏の説とは、表現・内容において大きく異なること、第二に、その一方において、唐代に編纂された『晋書』、『隋書』の各「律暦志」所引の「石氏」の説とは表現・内容においてほぼ一致すること、第三に、したがって、『大唐開元占経』に見える「石氏」の説は、それが編纂された唐代において確定した史料であること、が実証された。その結果、小論においては、戦国・魏にはるかに遅れて唐代に成立した「石氏」の説とされる逸文を以て、石氏本来の思想や学説を論じるという上田氏の方法論には、唐代の史料に戦国時代の思想を論じる、という初歩的、且つ根本的欠陥があることを結論として指摘した。
  単著   「東洋研究」第147号   大東文化大学東洋研究所刊行      2003/01


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