コバヤシ ハルキ
  小林 春樹   東洋研究所 東洋研究所   教授
■ 標題
  中国古代における正統論の根拠の変遷とその意義について-「歴史書」と暦学・暦法とを中心として-
■ 概要
  古代中国における正統論の根拠の変遷とその意義について-「歴史書」と暦学・暦法等とを中心として- 現人神であった殷の王、天子であることが公認されていた周の王とは異なり、戦国時代以後の諸国の王や皇帝は自己とその国とが天命を得た周の正統な後継者であることを自ら論証する必要に迫られた。それが正統論が必要とされた理由であり、その理論的根拠とされたのが「歴史書」や暦学・暦法や緯書、および終始五徳説、三正説、三統説、讖緯説などの諸思想であった。『春秋』から『漢書』にいたる「歴史書」は三正説や讖緯説に基づいてそれぞれ、特定の一国家の正統性を論証するために編纂されたのであり、従ってそれらは現代の歴史書とは性格を異にする書物群である。しかも正統性の論拠とされた三正説や讖緯説は基本的に循環論的、革命論的思想であったために、「歴史書」に基づく正統論は結局不完全なものにならざるを得なかった。また、夏正と総称される一群の四分暦も、八十一分暦の異名を持つ太書暦や三統暦も、やはり三正説、三統説、讖緯説などの循環論的、革命論的思想を根拠としていた為に特定の国家を完璧に正当化することに成功しなかった。結局、戦国以後漢帝国に至るまでの古代中国においては完璧な正統論は形成されないまま、歴史は漢帝国の正統な後継者であることを主張する魏・蜀・呉三国鼎立の時代へいったのである。
  単著   『東アジアの天文・暦学に関する多角的研究』   大東文化大学東洋研究所   223-264頁   2001/03


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