カワチ トシハル
  河内 利治   文学部 書道学科   教授
■ 標題
  比況にみる草書の美意識
■ 概要
  漢代美学においてすでに「気」と「自然」の哲学範疇が現れており、それらが美学範疇へと転化する過渡的段階にあることを基盤として、草書に対する美意識は、造化を観照し、自然を比況することによって言語に形容化した『草書勢』に記述された。それは法象(自然界のあらゆる形象)を単に比況するのではなく、それらに躍動・運動・動態を見出して、それを点画・字形・筆勢・筆法に比況したのである。しかも、書法の「象」がある種の「意(心中の情感や感受)」を表出できることから、「象」と「意」を統一した「意象」の有無が、草書芸術における美意識の判断基準となったのである。すなわち草書の美しさは「意象」を有するものに向けられたのである。そして、この草書に対する美意識の形成が、魏晋南北朝期に書そのものに対する美意識、美学の根源となっていくのである。
  単著   人文科学   大東文化大学人文科学研究所   (27),130(1)-101(30)頁   2022/03


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